スリランカの空港にいたイスラム教徒のおばぁちゃんの目的地
スリランカの空港でエスカレーターを前に年老いてヨボヨボとなったおばぁさんが慌てていた。最後の一歩が踏み出せない。結局、引き下がって階段を使っていた。ここに来るこのときまで、エスカレーターとは無縁の生活を送ってきたのだろう。彼女は頭からつま先まで真っ白な白い服をまとっていた。同じような格好をした人たちがたくさんいた。
行き先が気になって後をつけると、サウジアラビアに行く飛行機の搭乗口に並んだ。メッカ巡礼はイスラム教徒の使命。それまでは、エスカレーターすら知らなかった。しかし、おばぁちゃんは人生の最期を目の前にして海外に飛び出そうとしていた。
スリランカの宗教に仏教を挙げるのは模範解答。国民の多数を占めるシンハラ人が信仰している。仏教だけでなくヒンドゥー教も盛んだ。スリランカ北部にはインド系のタミル人が多く、2009年まで国内では内戦が続いていた。ここまでは予想がついた。しかし、現地ではイスラム教もキリスト教も信仰されていた。スリランカは古くから交易地としてイスラム教徒のアラブ系商人が活躍。アラブ系商人はそのまま定住化しその子孫はがイスラム教を信仰するスリランカ人となる。イギリスの植民地となったことでキリスト教も信仰の対象になった。
仏教。
キリスト教。
イスラム教。
ヒンドゥー教
スリランカでは仏教、キリスト教、イスラム教、ヒンズー教と世界の4つの主要な宗教が信仰されていた。何を信じるか、その答えが一つである必要はない。誇るべきこと。それなのにテロが起きてしまった。信仰の行く先が人を殺すことなんて間違っている。憎しみの連鎖が続かないことを祈るばかり。
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・周藤 卓也(しゅうとう たくや)
1983年 福岡県生まれ。
150カ国と13万1214.54kmの自転車世界一周を達成。
次なる夢は福岡でゲストハウスの開業。
WEBライターとしてGIGAZINEで連載