呉音チ、漢音ツで終わる漢字について
漢字は中国から日本に伝わった。日本の漢字は中国の音を音読み、大和言葉を訓読みに当てる。音読みも呉音、漢音、唐音と伝来の時期によって読みが違う。西だと東西(サイ)は呉音、西安(セイ)は漢音、西瓜(スイ)は唐音といった具合。ただし、一番新しい唐音読みがある漢字は少ない。ほとんどの漢字の音読みは呉音、漢音で占められる。この呉音、漢音の組み合わせは体系化できる。漢字の呉音、漢音を知れば中国語のピンインを推測できる。
だから、呉音チ、漢音ツで終わる漢字を集めていた。普段は意識しないが、漢字の音読みは語尾が母音、ン、キ、ク、チ、ツと決まっている。読みがチで終わる漢字はツで終わる別の読みもある。一文字ずらし。ただ、こうした漢字のピンインには法則性があまり見られなかった。
・越(yuè)
越前のエチ
越冬のエツ
・吉(jí)
大吉のキチ
不吉のキツ
・質(zhí)
質屋のシチ
質問のシツ
・節(jié)
御節のセチ
季節のセツ
・鉢(bō)
小鉢のハチ
托鉢のハツ
・律(lǜ)
律儀のリチ
律令のリツ
・日(rì)
一日のニチ
昔日のジツ
◆同じように見えて違う
・秩(zhì)
秩父のチチ
秩序のチツ
と見せかけてちちは訓読み。
・罰(fá)
罰当たりのバチ
信賞必罰のバツ
と見せかけて実は慣用音。呉音はボチ、漢音はハツ。
ちなみに漢音キと呉音クの場合は逆鱗のゲキ、逆襲のギャクのような形となる。昔日のセキ、借金のシャク、敵陣のテキ、嫡子のチャクのようなグループ。
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・周藤 卓也(しゅうとう たくや)
1983年 福岡県生まれ。
150カ国と13万1214.54kmの自転車世界一周を達成。
次なる夢は福岡でゲストハウスの開業。
WEBライターとしてGIGAZINEで連載