「追い風ワッショイ」というボーナスタイム
自転車旅行中の追い風はボーナスタイムだった。背中いっぱいに風を受けると自転車はぐいぐいと進む。この機を逃すまいとペダルを踏む足にも力が入る。スピードもテンションも爆上げ。祭りに参加しているようだった。追い風ワッショイ追い風ワッショイと神輿ではなくサドルの上に担がれて。追い風にあおられて、お祭りは通常の2倍速、3倍速になる。やめられないとまらない。どこまでも突き抜けていった。
通常は追い風ワッショイだが、一度だけ追い風ドッカーンを体験した。
中国のウイグル地区の荒野だった。はじめ風は斜め後ろから吹いていた。横にずれるので、風が吹いている方に体を傾ける。強い風にはムニュっとした感触があった。「この~、この~」と風とイチャイチャしながら進んだ。道の角度が変わる。「よし、来た~」とそこから60㎞は追い風ドッカーンだった。爆風吹き荒れる。ペダリングに手を抜いたってかまわない。強い風が背中を押してくれる。滑走路の上の飛行機のようだった。そのまま空を飛んでいきそうなくらいのスピード感。特に苦労もなく4時間で100㎞も進む。最高だった。
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プロフィール
・周藤 卓也(しゅうとう たくや)
1983年 福岡県生まれ。
150カ国と13万1214.54kmの自転車世界一周を達成。
次なる夢は福岡でゲストハウスの開業。
WEBライターとしてGIGAZINEで連載